「自分の成長が目的じゃない」
師匠の仕事哲学とは?

 まず、かずき師匠はプログラミングを「仕事だからやらねばならないもの」だとは思っていない。それ自体を楽しんでいるし、わからないことを調べてわかる過程も楽しんでいる。そうして調べたいろいろなものを組み合わせて目的のものをつくることは、パズルを解くようで面白いのだという。

「そうは言っても」と凡人の僕は思った。やろうと思っていることが実力以上で、まったく前に進まないときは楽しくも面白くないはずだと。

 かずき師匠に聞くと、その答えは、

「自分の成長が目的じゃないですからね」

 というものだった。

 これが違いなんだと気がついた。それまでの僕は、プログラミングは好きだが、自分のダメさも知っていた。だから、速く上達しなければと思っていた。成長しなければ、そのためには人の3倍ぐらい努力して、それでようやく人並みだと思っていた。

 できない自分を他人並みに押し上げなくてはならない、できるようになりたいと思うから、努力がつらいのだ。

 けれどかずき師匠は、できるようになりたいのではなく、楽しんでいるうちにできるようになった。かずき師匠にとって成長は目的ではなく、楽しんだ結果に過ぎないのだ。

 かずき師匠はこうも言った。

「何の分野でも努力して頑張ってやるよりも、娯楽としてどんどんできる状態の方が、強い人にはなりますからねぇ」

 まさに、努力して頑張ってやる=僕、娯楽としてどんどんできる=かずき師匠だった。

 努力が好きに勝てない以上、楽しむことを最優先に考えるというストラテジーもとても有効だ。そのための工夫をし、その結果として成長するのがいい。面白いからついつい努力してしまって、その結果、ゴールが勝手に近づいてくるようなイメージである。こうなると最強だ。