ただし、比較に使ったのは国際鉄道連合2024年版のデータだ。「2025年のスペイン高速鉄道利用者は2019年の2倍、約4450万人に急増」という現地の最新報道もある。先述した通り、国鉄の他にも海外資本の民間企業が参入して激しい競争を繰り広げた結果だ。
ところが今度は、競争激化のため「運賃の値下げ」が相次いでいるという。こうなると、もはや運賃を値上げする余地がなく、多額のコストを回収するのが難しくなることも懸念される。
出典に記載した参考文献などを基に生成AIも活用して筆者作成拡大画像表示
そもそもスペイン高速鉄道の利用率が低迷していたのは、運行本数も影響している。高速鉄道の旅客列車の本数は、フランスが1日当たり122本超あるのに対して、スペインは同49本しかない(2022年、スペインCNMC資料)。なお、日本の東海道新幹線は同356本(臨時列車含む)である。
高速鉄道の規模は中国に次ぐ世界2位と広大なのに、利用者が少なければ、運賃収入だけで費用を工面するのは当然難しくなる。その不足分を公的資金で補う必要がある場合、路線網の拡大と既存設備の維持更新に、どのように予算を配分するかが重要な政策課題となるはずだ。
こうした収益構造が、今回の事故に直接影響したかどうかについては、現時点で明らかになっていない。
ただし、採算性の悪さがインフラの維持管理の優先度を下げ、老朽化対策の遅れの遠因になっている可能性はゼロではないと筆者は考える。







