「捜狐新聞(Sohu News)」や澎湃新聞(The Paper)などの中国の主要メディアは、注文せずにスタバの座席を長時間利用する人の事例や、コーヒー市場の競争激化について報じている。

 スタバは中国で20年以上にわたり、自宅でも職場でもない「サードプレイス(第三の居場所)」というブランドイメージを築いてきた。

 一般的なコーヒーチェーンより価格が高くてもスタバを選ぶ人にとって、コーヒーそのものに加え、ゆったりと過ごせる空間も魅力だったのだろう。なかには、何も注文しなくても短時間なら気軽に立ち寄れると考える人もいた。

注文なしで長居する人々
スタバが直面した「異変」

 ところが、注文しないまま長時間座席を利用するケースも報じられるようになった。上海では、店内で囲碁を楽しむ人たちの利用が話題になったこともある。

 澎湃新聞(The Paper)の2024年1月の報道によると、上海市の中潭路にあるスタバでは、毎週月曜、木曜、土曜の午後、囲碁の愛好家たちが集まり、店内のテーブルに碁盤を広げて対局を楽しんでいたという。高齢者だけでなく、若い世代も参加していた。

 昼間から深夜まで対局が続くこともあり、その間、一度も商品を注文しなかった。

 また、高齢者の女性たちは、お菓子や水筒を持参して長時間おしゃべりし、中には、店員にお湯を足してもらう人もいるという。まるでスタバを「無料の地域交流施設」として利用しているかのようだ。筆者自身も、上海のオフィスビル内にあるスタバで、似たような光景を何度も目撃した。

 ビルで働く人たちが、隣のコンビニで買ったインスタントラーメンや弁当を持ち込み、スタバでは何も注文せず、持参した水筒の水を飲みながら食事をしていたのである。

 そして、中国では近年、失業した中年世代がスタバで長時間過ごすという現象も話題になった。

 家族に「失業中」と言えず、毎朝いつもどおり出勤するふりをして家を出る。向かう先は会社ではなくスタバだ。