ロシアで拘束の日本人記者「懲役20年」の恐れ…佐藤優が警告「ロシアとの交渉で絶対やってはいけないこと」2026年10月14日のロシア・モスクワにあるレフォルトヴォ拘置所。スパイや国家反逆など、安全保障や治安に関わる重大な事件の被疑者が多く収容される施設だ Photo:AFP=JIJI

ロシア連邦保安局(FSB)は10月13日、北海道新聞社の今井裕紀記者をスパイ容疑で拘束したと発表しました。佐藤氏が外交実務の経験から覚えた違和感、そして、ロシアとの交渉で「やってはいけないこと」とは――。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)

懲役20年の可能性も
拘置所の実態は?

 ロシア連邦保安局(FSB)は10月13日、北海道新聞社の今井裕紀記者をスパイ容疑で拘束したと発表しました。日本の情報機関の指示で、北方領土を含む千島列島からウクライナでの軍事作戦に参加した動員兵や志願兵の人数を調べたというのがFSBの主張です。

 しかし、裏付ける証拠は公開されていません。北海道新聞は政府の指示による取材を否定し、日本政府もスパイ行為の依頼を否定しています。

 かけられている容疑は、ロシア刑法の第276条です。これは外国人によるスパイ罪を定め、有罪なら10~20年の自由剝奪刑が科される可能性があります。今井記者はモスクワのレフォルトヴォ拘置所に移送されました。

 ここはスパイや国家反逆など、安全保障や治安に関わる重大な事件の被疑者が多く収容される施設です。ロシア側が本件を重大な国家安全保障上の問題として扱っていることがうかがえます。

 レフォルトヴォ拘置所は厳格な隔離でも知られます。米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」のエヴァン・ゲルシュコヴィッチ記者が収容された際には、他の被拘禁者との接触が厳しく制限され、家族との電話も認められなかったと報じられました。人間にとって他者との交流が制限されることは、精神的な負担につながります。

違和感を覚える
不可解な対応

 さらに、私が注目しているのは拘置所の管理体制です。