Photo:Emil Lendof/WSJ, Getty Images
世界で最も裕福な人物にとっても、金では買えないものがある。
3日、有権者はそのことを如実に示した。イーロン・マスク氏の政治的な力に強烈な打撃が加えられたのだ。同氏は共和党候補を支援するため4億4000万ドル(約700億円)超を投じたが、民主党が議会上下両院の支配権を獲得する結果に終わった。
マスク氏にとってその夜最も痛手となったのは、上院選で民主党のジェームズ・タラリコ氏が共和党のケン・パクストン氏を破ったことだ。民主党候補が州全体での選挙で勝利したのは32年ぶりである。
テキサス州在住のマスク氏は苦戦するパクストン氏を救うため、その選挙戦だけで1億5000万ドル超を投じ、タラリコ氏を激しく批判するテレビ広告を大量に流した。しかしそれは裏目に出たとみられ、熱心なタラリコ支持者を勢いづける結果となった。彼らは選挙直前の数日間、マスク氏の関与に反感を抱いていたと語っていた。
「われわれはまさに、世界中の金をもってしても、テキサスの人々にはかなわないことを証明した」。タラリコ氏はテキサス州オースティンでの勝利演説でそう述べ、名指しこそしなかったもののマスク氏の存在を示唆した。
開票速報が夜遅くまで続くなか、多くの人々はマスク氏が何と反応するかを見ようと、同氏が所有するソーシャルメディア「X」に目を向けた。やがて同氏は「どうやら私の選挙妨害用の宇宙レーザーは今回は効かなかったようだ」と冗談を飛ばした。
民主党はこのブルーウェーブ(青い波)が押し寄せる前から、議会の多数派を握ればその幅広い権限を使い、マスク氏とトランプ大統領を標的にする方針を示していた。
民主党は、トランプ政権発足初期に政府効率化省(DOGE)のトップとして政府支出を削減した際のマスク氏の役割や、対ロシア戦争でウクライナによる米スペースXの通信衛星の利用を同氏が制限したとみられる件について調べたい考えだ。マスク氏はスペースXとテスラの最高経営責任者(CEO)である。







