衆議院の比例代表の定数を31削減することで合意した自民党の鈴木俊一幹事長(中央)、日本維新の会の柴田巧幹事長(中央右)、国民民主党の榛葉賀津也幹事長(同左) Photo:JIJI
連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは「衆議院の定数削減」です。自由民主党、日本維新の会、国民民主党の3党は、比例代表だけを31議席減らす案で合意しました。定数が減り、比例の議席の配り方も変わります。戦後の制度改革や欧米との比較から、1票が議席にどう結び付くかを考えます。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
自民・維新は「45減」から譲歩
国民民主が「31減」を受け入れた理由
今回のキーワードは「衆議院の定数削減」です。
自民党、日本維新の会、国民民主党の3党は2026年10月29日、衆議院の比例代表を31議席削減することで正式に合意しました。小選挙区は289議席に据え置き、比例代表を176議席から145議席に減らします。案が実現すれば、衆議院の総定数は465から434になります。3党は関連法案を今国会に共同提出し、成立を目指す方針です。
自民と維新が25年末に提出した法案では、与野党協議で1年以内に結論が出なければ、小選挙区を25、比例代表を20減らすとしていました。この法案は審議入りできず、26年1月の衆議院解散で廃案になりました。
両党は6月に提出した法案で、期限内に結論が出なかった場合の措置を、比例代表だけの45議席削減に変更しました。人口の偏りを反映して都道府県間で議席を配分し直す際に、小選挙区の総定数まで減らせば、地方の議席がさらに減る恐れがあると説明しました。
10月の与野党協議では、自民側が削減幅を31議席に縮める折衷案を示し、維新も受け入れました。31という数字は、15年の国勢調査人口と30年の推計人口を比べた約6.7%の減少率を、衆議院の総定数465に当てはめて算出したものです。国民民主は、確定値のある25年までの人口減少を基に、19議席の削減を主張していました。
国民民主が31議席減を受け入れる決め手の一つとなったのが、同党が求めていた比例代表の中国・四国ブロックの統合と、複数政党による統一名簿の導入が最終案に加わったことです。榛葉賀津也幹事長は、地方の小選挙区を守るため、比例で対応すると説明しました。
3党の合意では、比例の各ブロックで政党に議席を配る方法も、現行の「ドント式」から「修正サン・ラグ式」に変えるとしました。どちらも、各党の得票数を所定の数で割り、その値が最も大きい党に議席を一つ配ります。議席を得た党は、得票数を次の数で割ります。その時点で値が最も大きい党に次の議席を配り、定数に達するまで繰り返します。
ドント式で得票数を割る数は「1、2、3、4……」です。修正サン・ラグ式の代表的な例では「1.4、3、5、7……」を使います。修正サン・ラグ式では、ドント式よりすでに議席を得た党が次の議席を争う際の数字が小さくなるため、同じ定数、同じ得票で比べると、中小政党にも議席が回りやすくなります。
一方、ブロックの定数が減れば、中小政党が議席を得るハードルは上がりやすくなります。配分方式の変更には、その影響を和らげる狙いがあります。
中国と四国の統合により、全国の比例ブロックは11から10になります。より多くの議席をまとめて配るブロックでは、一般に少数の得票でも議席に届きやすくなります。統一名簿を組む政党は、その名簿への票をまとめて議席獲得を目指せるようになります。
このほか、小選挙区で敗れた重複立候補者が比例で復活当選するために必要な得票率を、小選挙区の有効票の10分の1から6分の1に引き上げます。また、政党に配分された議席を埋める候補者が足りない場合、現行制度ではその分を他党に回しますが、合意案では欠員とします。
3党案が実現すれば、衆議院の定数は434になります。では、戦後の最多は何議席だったのでしょうか。次ページでは、定数の推移と中選挙区制からの転換を振り返り、欧州主要国や米国との比較から、日本の制度の特徴を見ていきます。







