孫正義,豊田章男トヨタ自動車の豊田章男会長とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長 Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

2018年、トヨタ自動車の豊田章男氏は、約20年前に提携を断った相手と、新会社設立の会見で並んだ。相手はソフトバンクグループを率いる孫正義氏。経営の歩みも立場も異なる2人だが、そろって嫌うものがあった。両氏の発言から、管理職が部下の意見を組織の判断に生かすための条件を明らかにする。(イトモス研究所所長 小倉健一)

この言葉が幅をきかせると
社員は口を閉ざしてしまう

 2018年10月、トヨタ自動車とソフトバンクが共同記者会見を開き、移動サービスの新会社「MONET Technologies」の設立を発表した。壇上に並んだ豊田章男氏と孫正義氏は、創業社長と継承社長の違いについても言葉を交わしている。

孫正義ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長 Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

 2人の縁は、その20年ほど前にさかのぼる。トヨタが中古車情報サービス「GAZOO」を始めたころ、ソフトバンクは提携を持ちかけ、断られていた。当時課長だった豊田氏は、係長だった友山茂樹氏とともに孫のもとを訪れ、提案を断ったという。それから20年。今度は豊田氏の側から足を運んできたことに、孫氏は会見で本当に驚いたと語った。

 会社を継いだ人と、会社を興した人。歩んできた道も社風もまるで違う2人が、そろって嫌っている言葉がある。3文字で、たいていの会社員の名刺に刷られている。会議でこの言葉が幅をきかせると、社員は口を閉ざしてしまう。

 答えの前に、ひとつの言葉を紹介したい。この文章の意味を少し考えてみてから次を読んでみてほしい。

「変化が排除された隙間に乱気流は生まれる」